起立性調節障害という病 Ⅲ

子育て

長女が通う中学校では2年生で修学旅行があります。

3学期の初めから登校できないまま、果たして参加できるのか不安ではありましたが担任の先生、保健の先生からのサポートもあり、何より本人のたっての希望で参加することができました。

学校へ到着する時刻に迎えに行った折、校門近くで友人4~5人と談笑している長女を見つけました。

顔色こそ悪けれ、内側から湧き出るような、溢れるような笑顔を忘れる事ができません。

親では与えられない幸せがそこにはありました。

その後再びかかりつけの小児科に診てもらいました。

「いろんな検査をしました。薬も飲みました。頭痛も腹痛もめまいもよくなりません。学校に行かせてやりたいです。」

とおじいちゃん先生に相談すると

「今は学校に行けなくても大丈夫。体に異常なかったのなら良かったじゃないですか。」

先生は少し考えて長女に聞きました

「何かやりたいことはある?」

「学校に行きたいです。」

「大丈夫。高校生になったら行けるようになるよ。それまでは自分の好きなことやってみたら?無ければ何でもいいから好きなこと見つけてみてごらん。」

先生の言わんとすることは分かりましたが、受験を目前にした私の焦りは募るばかりでした。

朝起きれない長女を見る度、登下校する中学生を見る度、胸が締め付けられました。

中学3年になっても相変わらず通学はできないままでした。

11月、長女は通信制高校に進路を決めました。

週2回通学するコースです。

不思議なことに気持ちが楽になりました。

私が苦しんでいたのは、娘が「理想」から外れる事への葛藤だったのでしょう。

もちろん病気が治って欲しいという気持ちに嘘はありません。

しかし長女の将来にこうなってほしいという私の夢があったことが身に沁みてわかりました。

あの時おじいちゃん先生は私のエゴを見透かしていたのです。

12月。

長女にクリスマスプレゼントは何がいいか聞くと、アコースティックギターが欲しいと言いました。

5歳でピアノを始め、中学で吹奏楽部に入り、楽器選びに迷った時フルートに決めたのは、私のアドバイスがあったからだと思います。

ギターは初めて自分で選んだ楽器でした。

長女はYouTubeでコードを覚えると、すぐにあいみょんの「マリーゴールド」を弾けるようになりました。

これから少しずつ自分で選択することが増えていくのでしょう。

「高校になったら行けるようになるよ。」

長女はおじいちゃん先生の言葉を信じて待っているようです。

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